一切ノンアフィでお送りします
Huaweiの名前は、今や一切スマホに興味がない日本人でも一度は聞いたことがあるでしょう。アメリカと中国のいざこざの渦中にある、なんか怪しい中国のスマホメーカーみたいな認識かもしれませんが…。
そんなHuaweiが2018年11月に発売したのが『Mate20』シリーズです。
Huaweiのフラッグシップラインは概ねカメラ重視で春頃に発売される『P』シリーズと、毎年秋頃に最新のSoCを搭載して発売される性能重視の『Mate』シリーズに大分されます。
そんな訳で、そろそろ『Mate30』シリーズが発表されるというこの時期にあえてMate20proを入手してしまった事になります。
何故今Mate30か?
実機レビューは次の項で纏めるので、もう少しお付き合い下さい。
あえてこの新機種発売の直前に型落ち機種を購入するのには勿論理由があります。
言うほどMate20proは型落ちじゃない
毎年Huaweiは9月に新ハイエンドSoCを発表し、Mate、Pシリーズを筆頭に1年間ハイエンドモデルに同SoCを搭載し続けます。
去年発表されたMate20proに搭載されているSoCはほぼ同時発表の『Kirin980』ですが、これの後継はまだ発表されていません。
つまり、日本でもdocomoの夏モデルとしてひと悶着あった『P30』シリーズもMate20proと同じSoCが搭載されたハイエンドな以上、少なくとも性能面では大差ないでしょう。
カメラについても同様で、参考程度ではありますが国際的なカメラ評価機関、DxOMarkのカメラ部門ランキングは2019年9月2日現在以下のようになっています。
GalaxyのフラッグシップやP30proは流石、としか言いようがありませんが、実用面でも標準、超広角、3倍望遠の3レンズと謹製AIを備えたMate20proのカメラは今でも十分トップレベルです。
『Mate30』の雲行きが怪しすぎる
米中貿易戦争の渦中にHuaweiがあるのは周知の事実ですが、その影響でMate30シリーズにはGoogleのサービスが載らない可能性が示唆されています。
この辺りはきちんとしたニュースを読むのをおすすめしますが、仮にEMUIを継続したとしても流石に発売時点でGoogleのサービスが使えないのでは、中国国内以外で需要はほぼ生まれないでしょう。
ましてや、日本国内でGoogle抜きのAndroidスマートフォンが発売される可能性は無に等しいです。
そう考えると、最後(?)のHuaweiフラッグシップを買っておきたい気持ちにもなるのも致し方ないですね。
そんなこんなで、要するに欲しかったので型落ちで安くなってたMate20proを衝動買いしました。
以下レビュー
ファーストインプレッション
今回購入したのはSoftbank版。
キャリアの手が入っている上、SoftbankのAndroidはソフトウェアアップデートが死ぬほど遅いことで有名なので躊躇しましたが、値段には抗えませんでした。
iPhoneに見慣れているとそうでもないかもしれませんが、Androidの中では相当デカいノッチに驚きます。通知領域、ほぼなし。
一応ステレオスピーカーなのですが、下部スピーカーがUSB-Cの中にあるという斬新な配置のせいで音のバランスはかなり微妙です。
この点Xperia1等は優れていたので残念ですね。
背面にはこの機種で一番目を惹くスクエア型のトリプルカメラがあります。
これ、キモいなあ…と今でも思っているんですが、今年のiPhoneもこんな感じになりそうでセンスが今一分かりません。P20、30はかっこいいのにね。
カメラ
「カメラのHuawei」の印象を決定付けた『P20pro』やSamsungの最新モデル『Galaxy S10』等はAIでかなーーりコッテコテの彩色にすることで「映え」た画像を作ってくれますが、Mate20proのAIは割と抑えめなのを感じます。
以下作例を適当に貼りますが、厳格に撮影したものではない上、圧縮されているので参考程度にして下さい。
この映りで不満を感じる人はほとんど居ないんじゃないでしょうか。
前述のDxOMarkではP20proとMate20proがどちらも109点で同率評価ですが、P20proのトリプルカメラが「標準/モノクロ/望遠」なのに対し、Mate20proは「標準/広角/望遠」と3種の画角で分けているため、実際の撮影の幅は全く違いますね。
3種の画角を用意するトリプルカメラはGalaxyS10や次期iPhone、Xperia1等、2019年フラッグシップの標準装備となっているので、2018年末にこれを実装したMate20proの先見の明に驚きます。
AIはモノによってはかなり大げさに働きますが、撮影の際にオフにするのも容易なので基本的にはオンで使っていました。味付けは好みに左右されますが、少なくとも素人が何となく綺麗な写真を撮る上では非常に有用だと思います。
他にも超広角を活かしたマクロ撮影や夜間撮影、ポートレート、シルキーウェイなど、優れたハードウェアを使いこなすための機能が大量に用意されており、写真の撮影が楽しくなります。
性能面
antutuを走らせてみました。
Huaweiは以前、特定のベンチマークアプリの起動中のみCPUの制限を外し、スコアを盛っていた事があります。現在は「パフォーマンスモード」が明示的に用意され、任意で性能をブースト出来るようになったので、どちらも試しました。
スコア的にはSDM845搭載のOnePlus6とほぼ同等、Xperia1等のSDM855には及ばない形です。ただ、通常状態では発熱がほぼ感じられない程度にまで抑えられており、効率面はKirin980に軍配が上がりそう(パフォーマンスモード時はかなり発熱します)。
ただし、GPU性能ではSDM845に大きく水を開けられています。
日常使用
Softbank版はRAMが6GBになりますが、普段遣いでパワー不足を感じることは一切ありません。
Xperia1の方が最適化不足でストレスを感じるほどでした。
4200mAhのかなり大容量なバッテリーのお陰で、QHD+の有機ELにも関わらず電池もちは非常に良く、これまで使ったスマホでは一番スタミナがあるように思いました。
主観的で恐縮ですが、朝の100%から一日写真撮影やマップを中心にしっかり使い込んでも、夜に30%は残っている印象です。
端末のアンロック手段としては画面内の光学指紋認証と、デカいノッチの中にiPhoneXライクな3D顔認証が仕込まれています。
カメラで顔を認証する簡易的な顔認証は色々使ってきましたが、通知領域を犠牲にしただけあって暗闇でも正確に認証してくれるMate20proの顔認証はかなり便利。
顔認証も指紋認証も爆速とまでは行きませんが、ストレスを感じさせない精度と速度で非常に実用的です。
ソフトウェア
Softbank版はまだEMUI9.1が配信されていないので、9.0で最新となります。
HuaweiのカスタムスキンEMUIはかなり手が加えられている方ですが、非常に使いやすくストレスフリーです。
同様に手がかなり加えられたSamsungの『OneUI』はユーザーのカスタマイズの幅が大きく、ユーザーが好きに調整できるのが特徴的でしたが、EMUIは「買ってすぐに使える」iOSライクなカスタムスキンになっている印象です。
OneUIやOxygenOS(OnePlusのカスタムスキン)ほど自由度は高くなく、各機能のオンオフを切り替えるスイッチがある程度ですが、その分迷うこと無く簡単に使いこなせると思います。
まとめ
衝動買いでしたが、想像以上に良い端末です。
OneUIはどうしても身体に合いませんでしたが、ここまで手を加えたスキンにも関わらずStockOSの感覚で使用できるEMUIには驚きました。
ハードウェア、ソフトウェアの両面で高め合う、そんな端末を世に出していたのはかつてのAppleですが、HuaweiはもしかするとAndroid陣営で最もそれに近い位置にいるかもしれません。
それだけに今後日本でHuaweiのスマホを見かける機会が無くなるかもしれないのが無念です。
逆に今、買ってみません?
おしまい。