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【第3夜】10月に発表予定のスマホ多すぎ問題

読書の秋、食欲の秋、スマホの秋という事で、今年の秋もスマホ各社が死ぬほどスマホを出します。

スマホ発表のタイミングとしては、1月のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー アメリカで開催される家電の見本市)、2月のMWC(モバイル・ワールド・コングレス スペインで開催される携帯電話関連の発表会)、9月のIFA(国際コンシューマ・エレクトロニクス展 ドイツで開催される電気技術の展覧会)などが有名で、各イベントの前後で数多くのスマートフォンが発表されます。

ただし今年10月についてはちょっと異例で、毎年9月に発表される新型iPhoneに対抗するため、大手メーカーがiPhoneの発表会の直後に自社製品の発表会を設定し、結果10月に大量のスマートフォンが発表される事になるのです。

そのため、特にイベントがないにも関わらず10月内でスマホの発表会がバラバラに開催されるため、一般コンシューマーとしてはかなり分かりにくい状況となっています。

 

という訳で、個人的な備忘録も兼ねて10月に発表予定のスマートフォンをまとめてみようかと思います。

抜けてても許してね。

 

 

10月3日 Sharp

 

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IFAで展示された試作機

 

SharpAQUOSと言えば自社製液晶パネルIGZOですが、10月3日に同社はIGZO液晶ではなく、初の自社製OLED(有機EL)を搭載したスマートフォンを発表します。

現在スマートフォン向けの小型有機ELパネルはSamsungやLGといったメーカーがほぼ独占している状況のため、10月3日に新型AQUOSが発表されれば唯一の国内産有機ELを搭載したスマートフォンとなります。

 

10月3日 LG

 

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10月3日に発表されるのは1機種ではありません。

韓国LGは9月26日に世界で初めて5つのカメラを搭載する『LG V40ThinQ』の発表を予告しました。

発表の予告というとややこしいですが、公式の発表会は10月3日に開催されます。

5つのカメラの内訳は背面がトリプル、インカメラがダブルという構成になります。

実用性のほどは確かではありませんが、ワクワクする機種なのは確かです。

 

10月9日 Google

 

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10月9日にはGoogleの公式スマートフォン『Pixel 3/3XL』の発表が予定されています。

 

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輸送中に盗まれ、ロシア人リーカーの手元に渡ったとされる実機 マジで?

 

 

このスマートフォン、マジで?というほど事前リークが出回っており、発表前ではありますが全貌がほぼ全て判明しているため、一部では「Googleがリーク対策で出回らせたフェイク端末では?」という説がまことしやかに囁かれているほどです。

 

 

既に日本市場への投入が確定しているため(Google公式スマートフォンの日本市場への投入は2015年のNexus6P以来)、人によっては有力な乗り換え候補となりそうです。

 

10月10日 Razer

 

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左は旧RazerPhone 右が未発表RazerPhone


ゲーミング機器などで有名なRazerが昨年発売した『RazerPhone』は高リフレッシュレートのIGZOパネル、8GBの物理メモリといったゲーム特化スペックでゲーミングスマートフォンのトレンドを作りました。

そんな『RazerPhone』の後継機種が10月10日に発表される見込みです。

リークされたレンダリング画像からは見た目の大きな変化は見て取れませんが、同社がゲーミングキーボードなどに仕込んでいるChromaLEDでビッカビカに光るようになると予想されています。

 

10月11日 Samsung

 

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10月11日にはSamsungが『Galaxy A』シリーズの新作と思われる機種を発表します。

ティザー画像より、背面に4つのカメラを装備したミドルレンジスマートフォンになるのでは?と予想されています。

仮に背面に4つのカメラが搭載されればもちろん世界初なので楽しみなところ。

ちなみに、大穴でSamsungがずっと「出すぞ出すぞ…」と言い続けている折りたたみスマートフォンという説もありますが…まあどうでしょうね。

 

10月16日 Huawei

 

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10月16日にはHuaweiがハイエンドラインの『Mate20』シリーズを発表します。

『iPhoneXS』に搭載されている『A12 Bionic』と同じ7nmプロセスルールの最新SoC『Kirin980』と、同社の『P20pro』に続いて背面に3つのカメラを搭載する、正真正銘のフラッグシップモデルとなる見込みです。

レンダリングには指紋認証センサーが見当たらないため、『FaceID』のような顔認証システムか画面内指紋認証センサーの搭載が噂されています。

 

10月17日 OnePlus

 

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これは正式発表ではありませんが、化粧箱のリークから10月17日にインドでOnePlus社の最新機種、『OnePlus6T』が発表される見込みです。

 

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同様に化粧箱の情報から滴型ノッチ、画面内指紋認証、デュアルカメラの搭載などが予想されています。

 

 

 

以上、とりあえず覚えていただけの発表予定を列挙しました。

スマートフォンメーカーはハイエンドラインだけでなくロー~ミドルの製品も含めると膨大な数のスマートフォンを毎月発売しています。

しかし(Aシリーズになると思われるGalaxyはともかく)ハイエンドラインスマートフォンが一月の間にこれだけ発表されるのはかなり珍しいので楽しみですね。

【第2.5夜】ねえ!!世界のスマホ市場で何が起きてたの!? 後編

nerrorist.hatenablog.jp

 

前回の続きです。

 

2017年(後半) 奴が来る

 

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UlefoneF1/MAZE Alpha/AXON7

2017年前半の勢いそのままに、中華メーカーを中心にベゼルレス端末がリリースされていきます。

 

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遂にはベゼルレストレンドを生み出した張本人でもあるXiaomiが、「縦長画面、悪くないな」という事で自らセルフカバー(?)し、『Xiaomi MI MIX2』という縦長3辺ベゼルレス端末をリリースします。

 

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OnePlus5/5T

中華の有名ブランドOPPOの子会社、OnePlusもトレンドを追いかけます。

OnePlus5という以前に発売していた端末をブラッシュアップし、縦長ベゼルレスかつカメラ性能を向上させた5Tを発売し、これは日本でもかなり(一部で)話題になりました。

 

 

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Samsungも負けじと『Galaxy S8』をブラッシュアップし、更なる大画面と待望のデュアルカメラを手に入れた『Galaxy Note8』を10月に発売し、2017年の話題を掻っ攫っていく…かと思われたのですが。

 

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『iPhoneX』が来ます。

ここまで読んで頂ければもうお気づきと思いますが、『iPhoneX』は縦長画面・ベゼルレス・デュアルカメラという2017年のトレンドを全て集約した上に、『Essential Phone』にあった「ノッチ」を採用することでギリギリまで画面比率を高めた端末でした。

それに加えニューラルネットワーク専用のエンジンを搭載したSoCを採用し、「AI」というワードを前面に押し出しました。

エンドユーザー的にも『X』はAppleiPhoneの連綿と続いてきたデザイン哲学を大きく変えてきたのが目に見えて分かる端末でしたが、業界的にも化物端末だった訳です。

 

こうして激動の2017年は『X』が攫っていく形で過ぎました。

 

順位 メーカー シェア
1 Samsung(韓) 21.6
2 Apple(米) 14.7
3 Huawei(中) 10.4
4 OPPO(中) 7.6
5 Xiaomi(中) 6.3
その他 39.5

https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS43548018

 

そんな2017年の世界スマホシェアはこちら(ソースが変わっているので集計方法が変わっている可能性があります)。

Appleのシェアが僅かに下がり、2016年に世界7位だったXiaomiが5位に上がって来ています。

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Xperia XZ1

国内では年末にSONYがこのような端末を出していました。

トレンドに乗るのが必ずしも良いことではありませんし、XperiaにはXperiaなりのニーズや哲学があるのは分かりますが…まあガラパゴスだなあと言った所です。

 

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AQUOS R Compact

ちなみに、かつてはかなり時代遅れの端末をリリースしていたAQUOSの同時期のモデルがこちら。

Sharpが鴻海に買収されたことでAQUOSにも台湾資本の介入が入り、まだ歪ながらノッチと3辺ベゼルレスの採用など、多少はトレンドに追いつこうという姿勢が見えます。

 

 

2018年 もっと画面がほしい!

 

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さて、『iPhoneX』が業界とコンシューマーに衝撃を与えたという事は、つまり後追いが現れるという事です。

 

2018年、トレンドの口火を切ったのはASUSの『ZenFone5(2018)』です。

縦長液晶、(X型の)ノッチ、そして丁寧に背面デュアルカメラの配置まで『X』に寄せています。

ですが丸パクリという訳ではなく、ZenFoneのお家芸同心円状の背面デザインを採用し、ASUSなりのAI機能も実装しています。

 

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LGが5月に発表した『LG G7 ThinQ』も同様のノッチを備えています。

もちろんデュアルカメラを搭載するのですが、『G7ThinQ』の一番の特色は側面のボタンです。

音量ボタンの下にGoogle Assistantを起動する専用ボタンがあり、ハードウェアレベルでAIとの提携を押し出しています。

 

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一方、世界シェア1位のSamsungは独自の方向性で進化します。

『GalaxyS9/S9+』ではノッチを採用せず、『S8』と同様の前面デザインになっています。

『S9+』はデュアルカメラを搭載し、Samsung独自のAIアシスタント『Bixby』を始めとした様々なAI機能など、しっかりトレンドは狙い撃っている手堅い端末です。

 

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F/1.5,F/2.4

ちなみに無印『S9』のカメラはシングルですが、絞りが物理的に動く可変絞りを採用することで明所暗所問わず安定した撮影が出来るワクワク仕様になっています。

 

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『MI MIX』、『MI MIX 2』を世に出したXiaomiはノッチこそ無いものの背面デザインが相当『X』に寄った『MI MIX 2s』を発売。

 

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なお、その後しっかりノッチを搭載した『MI8』を発売しました。

『MI8』は『X』同様指紋認証無し、生体認証はFaceID(もどき)のみという事で、見た目については本当に『X』ライクです。

上位モデルの『MI8 Explore Edition』は画面内指紋認証を搭載した意欲作です。

 

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ノッチまとめ

その後も『iPhoneX』ライクな端末は色々発売されましたが…(どうでもいいですが中央のOnePlus6は今の私の端末です)

 

決定版はこれです。

 

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日本でもCM打ちまくり、『Huawei P20 Pro』です。

極小ノッチ、縦長画面、『X』ライクな背面カメラと2018年のトレンドを取り揃えていますが、その背面カメラはなんとトリプルカメラ。

2016年の『Huawei P9』から始まったライカとの協業がここで一つの完成形を見たと言えそうです。

カメラもAI機能を存分に活かし、SNS受けする味付けと話題です(味付けされすぎとの意見もありますが、現代のスマホの使い方にはしっかり合致していると言えます)。

また、ベゼルレスを追求する一方でどうしても縁が残る下アゴの部分を有効活用し、前面に指紋認証センサー兼ホームボタンを設置したのは英断でしょう。

Huaweiは国内ではsimフリー端末しか販売していなかったのですが、『P20pro』ではわざわざ国内向けにおサイフケータイを搭載し、docomo専売で売り出すという力の入れようです。

どうでもいいんですが高嶺の花子さんというドラマを流し見していたら登場人物の使っているスマホが全部これで笑っちゃいました。遊戯王とかヴァンガードの世界かな?

 

そんなこんなで、2018年のトレンドの決定版は『P20 pro』で決まりかな…と思っていたら、まだありました。

 

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正確にはP20とほとんど同時の発表ですが…


vivo NEX』というこのスマートフォン、特色はもちろんにょきっと飛び出したインカメラです。

 

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『X』のような「ノッチ」デザインはベゼルを少なくするための工夫でしたが、ダサいという意見もそれなりにありました。

それに対するvivo(これまた中国のスマホメーカー)の回答がこれです。

画面内にインカメラを一切載せず、必要なときだけ電動式インカメラがせり出して来ます。

更に指紋認証は画面内埋め込み、フロントスピーカーは搭載せず、画面が振動することで音を出す「Screen Soundcasting Technology」を採用するなど、異常なまでのベゼルレスへのこだわりが感じられます。

ちなみにこの端末が発表されたのはサッカーワールドカップの時期なのですが、vivoがめちゃくちゃにスポンサードしていたのでフィールドがvivoの広告だらけで試合が全然頭に入ってきませんでした。

 

このようにノッチに頼らず画面占有率を上げるアプローチを取ったのはvivoだけではありません。

 

 

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中国OPPO社の『OPPO FIND X』が殴り込みをかけてきました。

早速仕組みを見てみましょう。

 

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そう、『FIND X』は端末上部がそのままスライドしてカメラが出てきます。

指紋認証は搭載せず、『iPhoneX』や『MI 8』同様顔認証のみになるのですが、ということはつまりロックを解除する度にこのギミックが発動するわけです。

 

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しかも背面カメラも同様のギミックでせり出してくるので、通常時は画面も背面もまっさらな状態になります。

持ってないので分かりませんが、この背面は得も言われぬ美しさらしいです(OPPOのロゴの主張が激しすぎる気もしますが、まあ持ってないので…)。

 

「カメラがモーターでせり出してくる」なんてむちゃくちゃギークでニッチな端末のような気がしますが、意外とこの仕組みは業界に波及します。

 

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Huaweiのサブブランド『honor』は『FIND X』同様のスライド式端末『honor MAGIC2』の登場を予告しました。

 

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そして『honor MAGIC2』が発表された同日、何度も出てきた中華メーカーxiaomiのCEOが、Huaweiに先を越されて悔しかったのかSNS上でこの画像を公開します。

ベゼルレスのはしり『MI MIX』シリーズの次世代機、『MI MIX3』だと目されるこの端末も『FIND X』同様の機構を備えているのが分かります。

 

 

順位 メーカー シェア
1 Samsung(韓) 20.9
2 Huawei(中) 15.8
3 Apple(米) 12.1
4 Xiaomi(中) 9.3
5 OPPO(中) 8.6
その他 33.2

https://japan.cnet.com/article/35123382/

 

そんな2018年第2四半期の世界スマートフォンシェアがこちら。

もちろん第2四半期限定のデータのためiPhoneの新機種の発売などはないのですが、それにしても遂にHuaweiAppleを抜いて世界2位に躍り出ているのが目に付きます。

シェアやここまでのおさらいを見ても分かるように、スマートフォンのトレンドは最早中国メーカーが作り、中国メーカーが回していると言っても過言ではない状態です。

OPPOやHuaweiといったメーカーは一部日本にも進出していますが、未だにキャリアがスマートフォン販売の大部分を掌握している日本ではこれらのトレンドはほとんど入ってきていません。

 個人輸入しようと思えばまあいくらでも出来るのですが、法律的にもグレーオブグレーだったりサポートは当然受けられなかったりと、中々不自由な状況になっています。

 

以上ここ2年のトレンドをざっくりまとめてみました。

今回登場した端末はどれもメーカーの技術の粋を集めたもので、1端末1ブログ書けるようなものばかりなので全然内容が書き足りないのですが、はてブの無料プランがパンクしてしまうのでこれくらいにしとこうと思います。

他にもAI、有機EL、ゲーミングスマホといった色々なトレンドがあったり、紹介してない端末が無限に存在したりします。

おいおいちょっとずつ書けたらいいなと思うのですが、面倒くさかったらやりません。

 

 

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XperiaXZ2/XZ3 XZ3には期待してます



 

【第2夜】ねえ!!世界のスマホ市場で何が起きてたの!?

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日本が東洋のガラパゴスと呼ばれて幾星霜。

日本独自の機能がばちこり搭載されたガラパゴスケータイ=ガラケーなんて概念も登場して久しいですが、ぶっちゃけ日本のガラパゴスっぷりはスマホ全盛の2018年も続いています。

「なんか最近スマホでかいなー」とか、「なんか縦長だなー」とか思いませんか。

実は日本人がキャリアからスマホを割賦割引で購入している2年間で、世界のスマホ市場ははちゃめちゃに変化していました。

別に知らなくても問題ないスマホ小話、第2夜は「激動の2016年~2018年 世界スマホ事情」を追ってみたいと思います。

 

 

2016年 スマホ過渡期とデュアルカメラ

 

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iPhone7/7Plus



 

iPhoneで言うとiPhone7が発売した年。

スマートフォンと言えばこの形状、というスタンダードなものが多いです。

まあ2年前なので当時革新的であってもスタンダードになっているのは当然なんですが。

 

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そんな中でもトレンドの波は見て取れます。

中華スマホの雄、Huaweiがドイツの老舗カメラメーカーライカとコラボしたデュアルカメラを搭載する『Huawei P9』をリリース。

iPhoneの後追いメーカーという印象が拭えなかったHuaweiが一気に独自色を打ち出します。

iPhoneも7Plusからデュアルカメラを採用していますが、7Plusが広角レンズと望遠レンズの二刀流で光学ズームを可能にするというアプローチを取ったのに対し、HuaweiはRGBセンサーとモノクロセンサーを二刀流することで画質の向上を図りました。

イカブランドの名前を借りたこともあってこの戦略は成功、以降デュアルカメラはHuaweiお家芸となります。

Huawei P9』は国内でも発売されたものの、SIMフリー市場がまだまだ小さかったため認知度は低めです。

 

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GalaxyS7edge/Xperia X Performance

国内キャリアではこのような端末が見られました。

今でも大切に使っている人をそこそこ見かける端末ではありますが、既にデュアルカメラというトレンドには乗り遅れている感もあります。

 

順位 メーカー シェア
1 Samsung(韓) 22.8
2 Apple(米) 15.3
3 Huawei(中) 9.6
4 OPPO(中) 7.2
5 vivo(中) 6
6 LG(韓) 5.5
7 Xiaomi(中) 3.7
8 Lenovo(中) 3.7
9 TCL(中) 3.7
10 ZTE(中) 3.5
その他 18.9

https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/column/15/011300091/020100026/

 

2016年の世界スマホシェアはこのような形です。

HTC、SONYといった日本人に割と親しみのあるメーカーは「その他」入りを果たしています。

特にSONYは世界市場での没落ぶりが著しく、2016年の出荷台数がおよそ1510万台で、世界のスマホ出荷台数が13億6000万台なので、世界シェアは僅か1%ほど。

それでもXperiaの国内シェアはこの年15%あったので、既に日本のガラパゴスっぷりが浮き彫りになっています。

 

ちなみにこの年に私はiPhone5sからXperiaXPに機種変更しました。

理由は見た目が好きだったから。

 

 

2017年(前半) 世界は画面に包まれた

 

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戦火にも包まれます。

2017年6月に発売された『GalaxyS8/S8+』は、縦長画面、ギリギリまで攻めた上下左右のベゼル幅により、当時圧倒的な画面比率を誇りました。

 

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デュアルカメラのトレンドにこそ追従していないものの、Samsungの特徴だった前面指紋センサーを背面に追いやってまで得た画面の迫力は、(少なくとも業界関係者の)度肝を抜きます。

 

ただし、この『大画面』というキラーワードは、伏線無く唐突に現れたものではありません。

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実は2016年の時点で、Xiaomiという中国のメーカーから『Xiaomi MI MIX』という端末が発表されていました。

「Xiaomiという」とか言っていますが、このあとめちゃくちゃ出てきます。

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GalaxyS5/MI MIX/iPhone7Plus http://smaho-dictionary.net/special/xiaomi-mi-mix/

画面比率こそ16:9とスタンダードですが、インカメラや各種センサーを下側に集中させることで3辺ベゼルレスを実現したこのスタイルは、(流行りこそしなかったものの)時代を変えるきっかけになります。

ちなみに、見た目のインパクトだけでなく中身も当時最新のSoCと物理メモリ6GB(!)という、2018年現在でも一線級で使えるかもしれないギークな代物です。

 

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『MI MIX』の登場を受けて…かは分かりませんが、続いて米Essentialから『Essential Phone PH-1』が登場します。

『MI MIX』を彷彿とさせる3辺ベゼルレスに加えて上部には「ノッチ」を設け、縦長画面を採用することで画面比率を高めています。

ミニマルな見た目と、ピュアに近いAndroidOS、そして価格の安さから人気を博し、なんと2018年になり国内MVNOから発売されることが決まるほどです。

 

このように既に蒔かれていたトレンドの萌芽を踏まえ、満を持して登場した『GalaxyS8』の完成度が高いのは、ある意味当然と言えます。

 

この先激動のスマートフォン市場はどのように変化を遂げるのか。

なんか長くなったので2017年後編に続きます。

【第1夜】新しいiPhoneの何がすごいのか

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去る9月21日、新型iPhoneこと『iPhoneXS』、『iPhoneXS Max』が発売されました。

去年発売された『iPhoneX』の正当進化版と言える2機種ですが、ぶっちゃけ新機種になって何が変わったのか分からない人も多いようです。

 

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というか、サイズの大きい『Max』はまだしも、『XS』の見た目については『X』からほぼ変わっていない以上、この1年でiPhoneが進化したのは価格だけだと認識されても仕方がないのかもしれません…が、XSシリーズは実はしっかり進化しています。

しかもその進化は、実のところ現在のスマートフォン業界のゲームチェンジャーと言えるほど圧倒的なものなのですが、それがみすみす見逃されてはジョブズも浮かばれないでしょう。

という訳でジョブズとは特に親交の無いAndroid党の僕が渋々iPhoneを絶賛するのがこの記事です。

 

スマホオタクの皆さんには常識の話をなるべく分かりやすく書くだけなので、オタクの皆さんは別に読まないで、かつ突っ込まないで下さい。

スマホオタクじゃない皆さん的には知っても別に得しない話なので、ブログを読まずお手持ちの端末でFGOでも周回して下さい。

 

それでは、別に知らなくても問題ないスマホ小話第1夜、始めます。

 

 

何が変わったか?

 

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『X』が『XS』になって進化したもの。

それはアンテナライン

端末下部にアンテナラインが追加され、それに伴いスピーカー穴の配置も変わりました!すごいね!

そして背面カメラの位置

背面カメラのレンズが数ミリズレたことで、『X』のケースと『XS』には完全な互換性はありません!すごいね!

更にApplePayが充電切れの状態でも使えるように

これで電池切れでも家に帰れます!すごいね!

更に更に、防水性能がIP67からIP68になり、水深2mでも死なないようになりました!

これはすごい。

 

これらも変化ではありますが、今回したいのはSoCの話です。

SoCとはスマートフォンの頭脳の事で、PCで言うマザーボード、CPU、GPUWi-Fiユニットなんかをコンパクトにまとめたものを言います。

スマートフォンの性能面に直結する重要なユニットであり、iPhoneの場合はAppleが自前で『Apple Aシリーズ』というSoCを設計しています。

『X』に搭載されていたのが『A11 Bionic』、そして今回『XS』に採用されたのが『A12 Bionic』です。

愛称も一緒だし、数字全然変わってないし何がすごいの?という感じだと思いますが、実はこれ世界初、そしてしばらくは最先端であり続けると思われるスーパースゴイSoCなのです。

 

『A12』のすごすごポイントはそのトランジスタです。

トランジスタとは、かつての真空管の後に登場したチップを構成する素子の事なのですが、まあとにかくこれが多ければ多いほどチップは一般的に高性能・省電力・低コストになるとされています。

じゃあ『A12』を構成するトランジスタは何個なの?と言うと、69億個です。

69億個って何個?となると思いますが、69億個です。

 

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この小さいチップに69億個もトランジスタが入っているという事は、ひょっとしてトランジスタってめちゃくちゃ小さいのでは…?と思ったアナタ。

ご明察です。スマホオタクになりませんか?

 

トランジスタ半導体回路なのでめちゃくちゃ多くの配線によって構築されているのですが、その配線の幅を『プロセスルール』と言います。

『A12』のプロセスルールは7nmです。

1nm0.000001mmらしいので、たぶん僕の器よりも小さそうですね。

プロセスルールが微細化される程同じ面積に配線出来る=トランジスタ数が増えるので、上記の高性能・省電力・低コストを受けることが出来ます。

一概にプロセスルールの細かさ(トランジスタ数)と性能が比例する訳ではないのですが、ひとまず他のSoCと『A12』を比較してみましょう。

 

  

  主な搭載機種 型番-ルール
2010 iPhone4 A4-45nm
2011 iPhone4S A5-45~32nm
2012 iPhone5 A6-32nm
2013 iPhone5s A7-28nm
2014 iPhone6 A8-20nm
2015 iPhone6s A9-14nm
2016 iPhone7 A10-16nm
2017 iPhone8/X A11-10nm
2018 iPhoneXS A12-7nm

 

  主な搭載機種 型番-ルール
2013 XperiaZ1 SDM800-28nm
2014 XperiaZ5 SDM810-20nm
2015 XperiaXZ SDM820-14nm
2016 ZenFoneAR SDM821-14nm
2017 XperiaXZ1 SDM835-10nm
2018 XperiaXZ2 SDM845-10nm
2019(仮) SDM855(仮)-7nm

 

 

SnapDragon(SDM)は 米Qualcommが設計しているSoCで、2017年時点でAndroidスマートフォンの6割以上に搭載されています。

『8xx』シリーズはその中でもiPhoneと同様のハイエンド向け製品ですが、現在のところほとんど1年分プロセスルールの微細化において差がある事が分かります。

SnapDragon855(仮)については例年通りであれば今年の後半に発表、来年から実際にスマートフォンに搭載されるものと思われ、製造を担当しているSamsungが7nmプロセスの製造に成功していることから、まず間違いなく7nmプロセスルールで登場するはずです。

他にも最近日本でも存在感を増している中国のメーカーHuaweiも7nmプロセスルールのSoC(Kirin980)を既に発表していますが、実際に搭載されるスマートフォンの発表は10月16日という事で、製品化ではAppleが先んじたことになります(余談ですが、発表そのものはHuaweiの方が早かったため、AppleHuaweiも自分が「世界初の7nmプロセッサだ」と主張しています。どうでもいいですね)。

 

Kirin980についてはまだ未知数ですが、SnapDragonは既にかなりAppleの後塵を拝している状況です。

『iPhoneX』の半年後に発表されたSnapDragonの(現)最新SoC『SDM845』は『X』の『A11』とほとんど同じスコアを出しています。

しかし『XS』の『A12』にはかなり差をつけられてしまい、SnapDragonは現状Androidに搭載されるSoCの中で最も性能が高いものなので、Android陣営のSoC性能はどんなハイエンド機種であっても『iPhoneXS』の半年遅れと言わざるを得ません。

 

また、7nmプロセスの開発・量産には莫大な金がかかるため、AMDなどに半導体を納入していたGLOBAL FOUNDRIESという半導体会社は、開発には成功したもののつい最近量産を諦めました。

この脱落により、現状で7nmプロセッサを作れる技術があるのは韓国のSamsung(SDMの製造)、Intel、そして台湾のTSMC(Aシリーズの製造)の3社のみとなっています。

 

すごくない?『XS』。

 

 

そして何が変わるか

 

プロセスルールが微細化してトランジスタ数が増えると、SoC内で割ける処理性能に余裕が生まれます。

このSoC内の処理性能の割り振りにはSoC毎に特徴があり、例えば先程の『SnapDragon』はどちらかというとGPU(映像とかを主に処理するエンジン)を重視しており、そのお陰で総合性能がほとんど同列の『A11』よりゲーム性能が高いと言われます。

では、『A11』の43億個から69億個までトランジスタ数が増えた『A12』はどこにその性能を使っているのでしょう。

 

答えは『NPU』です。

『NPU』は最近流行りのAIをフル活用するための専用プロセッサで、従来はCPUやGPUが担っていたニューラルネットワークの実行に特化しています。

『A11』には『NPU』が1基搭載されていましたが、『A12』ではこれが8基に増え、1秒辺りに処理できる回数を表すOPSは『A11』が6000億OPSなのに対し、『A12』では5兆OPSまで爆増しました。

この恩恵を一番受けているのがカメラ機能で、『XS』では今まで以上に美しいポートレートが撮れると宣伝されています。

エンドユーザーとしては「それだけ?」と思わなくもないですが、今後ニューラルネットワークの出番は増えていくはずですので、伸び代が十分確保されていると考えたいですね。

堅実にCPU、GPU性能に処理能力を割り振るのではなく、これからを見据えてNPUに舵を切った『A12』は、実はかなり革新的なSoCと言えるでしょう。

 

ちなみに、もう誰も覚えていないと思いますが『A11』と『A12』の愛称がどちらも『Bionic』だったのは、『Bionic』がNPU搭載SoCを意味する(とAppleが決めた)ためです。

なので、順当に行けば『A13』も『Bionic』になることでしょう…。

 

 

まとめます

 

『XS』シリーズは最先端のSoCを搭載し、それによりAI機能が超強化された超すごいスマートフォンだと言うのが少しは伝わったでしょうか。

これだけ超すごいスマホなら10万円以上するのも当然……かどうかは個人の価値観によるので、自分の好きな端末を自分の好きなペースで使うのが一番です。

つまりこんなブログを読んでも意味がないのですが、もしあなたが『XS』を買おうと思っているなら、「それって前のと一緒じゃん」と言ってくる奴にこれらの知識をめちゃくちゃにひけらかして避けられたりして下さい。